コラム

人材採用 質の高い母集団を形成する

今回は、多くの企業が悩んでいる“応募者を増やす”方法を検討したいと思います。

あなたの会社が求めている人材に応募してもらうために、自社なりの採用手法を確立することが必要です。自社の強みと弱みをしっかりと把握していることが、人材獲得競争に打ち勝つための第一歩です。

ただただ応募者数を増やしたいという欲求に流されないために、応募者が増えるデメリットも把握しておきましょう。

事業の発展にかかわる重要な役割を担う人材採用

企業の発展には従業員ひとりひとりの能力と、それを統率する組織力が欠かせません。そのため、人材採用は事業の発展にかかわる重要な役割を担っています。

事業を発展させるためには、単純に人数が充足すればよいわけではありません。組織が要求する水準に達していない人を採用した場合、その“ツケ”は必ず支払うことになります。

また、人材採用には時間や労力といったコストが掛かります。これらを無駄にしないためにも系統立てて取り組むことが重要です。前回のコラムもあわせて参考にして頂きたいと思いますが、自社が現在どのようなステージにあるか、今後どういった成長を目指すのか、成長するにはどういった改善策が必要なのか、といった事業に関わることとその事業を遂行するために必要な人材が必要かということを見極めていきます。

つまり、この人材像を策定するプロセスは、事業や経営そのものの方向性を導き出していく過程そのものです。経営者としての視点、人事としての知見、部門責任者の視点など複数の立場や見方を入れながら人材像を形作ることが大切です。

求める人材像と母集団の形成の関係

ここまで、求める人材像を描くことの重要性をお伝えしています。こうした話をしていると、多くの採用担当者から必ず言われることがあります。「わが社の問題は、求める人材像ではなく、応募者がことないことだ。」とお叱りを受けることがあります。

私自身も採用担当者として業務を担ってきた経験がありますので、応募者数を増やしたい気持ちはよく分かります。母集団が大きくなれば、その中に“優秀”な人材が混じってくる確率は高くなるとは思います。しかし、その多くの応募者の中から自社で定義する“優秀者”を引き当てることができるかは未知数ではないでしょうか。

また、闇雲に母集団を増やせば、以下のような問題が発生することは目に見えています。
・説明会や選考会の無断欠席者が増える
・お試し受験に使われ、面接官の意欲が低下する
・選考コスト(面接会場、面接官の人件費)の増加
ですから、今一度、本当に応募者が増えることが、採用活動の成功なのかをよく検討してほしいと考えています。

さて、求める人材像を策定する課程で、自社分析が必要とお伝えしました。これは、自社がターゲットとしている応募者との接点を探る上で非常に重要な情報となります。例えば、「常識をくつがえす人材」を求めている企業があると仮定しましょう。その企業が、求人媒体は大手の求人サイトのみを活用しているとしたら、“とっても常識的!”という印象を与えます。逆に、「今さらだけど、エントリーは“はがき”でお願いします採用」とか、今の時代とは少し違った角度で応募者を惹きつけていれば、この会社の採用手法にマッチした方法の1つになると思います。

上記はあくまで仮定の話ですが、自社の求める人材像を描くことは、それに共感する人材を惹きつける方法を検討することとも関係しています。求人情報サイトや人材紹介会社を活用し、求人情報を掲載しても応募者が増えない。認知度が低い企業だからと嘆く前に、できることから足場を固めていくことが採用活動では大切だと思います。

求める人材にアプローチするためには

採用活動の成否には、採用市場の現状や競合他社の動向などについても情報を収集することが大切です。私たち外部の目から見て、採用活動が成功している企業の特徴は自社の強み・弱みを理解した上で、そのアプローチ方法を見つけ出していることです。

この数年、新規学卒者の採用選考に関わる倫理憲章が話題になっていますが、このような状況を逆手に取り選考活動を前倒しにしている企業もあります。日経連に加盟している企業と比較し、人材獲得競争で優位性が低いと認識している企業では、始動性を高めた採用活動で効果性を高める施策を取っています。

買い手市場であれば、比較的余裕のある活動になるでしょうし、売り手市場であれば、応募者のニーズにマッチする対応力を発揮していかなければならないでしょう。あなたの企業にマッチした人材が存在したとしても、市場動向や他社の状況によって応募者の行動は大きく変わってきます。

自社が求める人材像を描いたら、その人材はどのような媒体を利用しているのか。どのようにアプローチすれば応募行動に結びつくのかなどの考察を深めてみましょう。人材派遣会社や媒体各社などからの情報も多いに活用し、訴求効果を高めることが成功の鍵と言えるでしょう。