コラム

育て上手な上司が実践する目標管理の進め方

目標管理は、企業が目指す目標の達成に向けて、社員一人一人がやるべきことを明確にし、しっかりと責任を持って仕事するために導入された制度です。自分の仕事、自分の目標、自分のやり方を尊重しようという制度にも関わらず、職場での評判は今一つです。

上司から目標という名のノルマや雑務をこなすことに追われる毎日に、目標設定の本来の意味合いとは異なった運用がされています。目標管理は、社員のやる気や能力を高めることが大前提です。

間違った目標管理をしていませんか?

前回のコラムでは、人材育成に必要な“人が育つ土壌”づくり、職場を“耕す”方法をご紹介しました。今回は、部下が育つ職場を作る具体的な方法として、目標管理のあり方とその進め方を検討していきましょう。

多くの企業では、目標管理制度が既に導入されていると思います。部門やチームが達成すべきことから各自がなにをすべきかを設定し、その達成度により評価する手法が取られています。一方で、目標を決めて、それを達成することが出来たか否かで評価すればよいと安易なマネジメントに傾倒するリーダーやマネジャーが増えました。

その結果、今職場で起きているのは行き過ぎた成果主義や目標管理制度が単なるマネジメントツール化してしまい、部下のやる気が一向に上がらない、「名ばかりの目標管理」となっています。

目標管理は、P. F.ドラッカーが人を大切にするマネジメント方法として提唱したものです。ドラッカーは、経営管理の中に目標管理を導入することのメリットについて、各自がなすべきことを「統制すること」が可能であると捉えています。つまり、自分で決めた目標は、それに対しコミットメントし、よりよい結果を生み出そうと努力も工夫もすることができるだろうということです。

ここでいう統制は、人が人を支配する意味も含まれますが、それ以上に興味深いのは、「自分で自分を統制する」という観点です。目標を決めることは、誰かに強制されて設定することではなく、自発的に取り組むべきことを決めて意志を表明することだということです。

目標管理が導入された際、こうした考え方も一緒に学んでいたはずですが、運用場面では、上司が目標を通じて部下を統制することに力が注がれた結果が現在の状況を生んでしまったのでしょう。

目標管理で気をつけなければいけない3つのこと

1)部署やチームの方向性を明示する
チームや部門を切り盛りするマネジャーは、メンバーが目標設定を行う前に、会社全体の目標やチームの目標をしっかりと伝えることがなによりも重要です。また、その際に特に注意をしなくてはいけないのは、自チームの目標設定の背景、目標を達成すると組織やチーム全体にどのようなインパクトがあるのかを説明することです。組織全体やチームの状況をしっかりと考え、その上で自分たちが何をしなければならないかを考えるためのきっかけを与えましょう。

2)メンバーに期待値を伝える
私たちは、あまり意味を持たずに「頑張れよ」「しっかりやれよ」と声をかけることがあります。このような声掛けは、親近感を持たせる、職場への適合を促す上で効果的です。こうした声掛けに、“なに”について頑張ってほしいか、どのようなことを“しっかり”すべきかを伝えることができれば、上位者が自分に何を期待しているのかを理解しやすくなります。

3)具体的な目標を設定する
目標を決めるときは、「何を」「いつまでに」「どの程度」を明確することです。また、その「目的」が明確になっていると、より具体的でやるべきことがはっきりとしてきます。こうした観点を踏まえ、部下の書いてきた目標設定シートが以下のポイントを踏まえたものとなっているか否かを確認し、部下の意向を確認しながら修正に向けていきます。
具体的な目標設定のポイント
・やるべきことが具体的
・結果を測ることができる
・本人の努力でできること
・部門や組織目標と関連している

4)目標達成に向けて自主的な行動を促す
上司と部下が目標に対して合意をしたら、どのように部下が目標を達成するのかを確認しましょう。本人の日頃の行動を観察することのもよいしょうでしょうし、場合によっては目標の進捗度合いを振り返るように促すことも必要となってくるでしょう。ここで注意をしたいことは、目標を使って必要以上の「統制」を避けることです。自分で決めた目標だから出来て当然とばかり、できない理由の問い詰め、目標の上積みの押し付けなどはしないことです。

5)フィードバックを行う
チームメンバーの目標達成は、あなたが統括する組織の目標達成と関連しています。次期以降もメンバーの主体的な活動を促すためにも、目標とその結果に対するフィードバックはしっかりと行いましょう。
メンバーが何を成し遂げることができたのか、また、その過程においてよかった言動や改善した方がよい言動についても伝えてください。このようなフィードバックは、具体的な言動になるため日々の業務で改善すべき行動や成長にむけた強化行動の促進につながりやすくなります。

このように、目標管理のポイントを上手く活用して職場のマネジメントを行うことで、職場全体で仕事の質や量を高める工夫ができるようになります。優秀な部下を多く輩出する上司は、部下の押さえ所をしっかり知っているのでしょう。