コラム

人材育成が上手くいかないと嘆く前にやるべきこと

あなたは仕事を通じて“成長した”と実感した瞬間はありますか?

壁にぶつかったり、悔しい思いをしたり、しんどいと思うような経験をすることも人が成長するために必要です。少し難しい仕事にチャレンジできる環境を整えていきましょう。

効果的に人材育成を行うためには、「1.ガイドラインを作成する」「2.育成手法を学ぶ」「3.仕事の与え方を工夫する」が必要です。

部下が育たないと悩んでいるあなたに

前回のコラム「企業の成長になぜ人材育成が必要か?」では、人材育成を行う上で重要視すべき4つの観点(1.人材育成の目的を明確にする2.仕事を遂行するための能力3.仕事に対する考え方4.自社の企業理念に対する考え方)をご紹介いたしました。

今回のコラムでは、上記の観点を踏まえ、職場でどのように人材育成を行っていくかを検討していきましょう。

ところで、あなた自身は仕事を通じて“成長した”と感じたことはありますか?

この質問をすると、「結果的に成長したかもしれない」という回答を多く頂きます。結果的とは、一体どのようなことなのかを聞くと、様々な経験談を話して頂けます。例えば、新規事業の立ち上げを任されたものの、なかなか成果が出せずに苦労したこと。上司や先輩との折り合いが悪く困った時に助け舟を出してもらえず、世の中に頼れるのは自分しかいないと覚悟を決めたこと。新製品の開発過程で実験が上手くいかず、何日も徹夜してデータ収集をしたこと。などの体験談を話してくださいます。

ここで不思議なことに気がつきます。難しいこと、苦しかったこと、辛かったことなど、決して笑顔になるような話でありませんが、みなさんものすごく楽しそうに話します。そして、「あの時のあの経験があったから、今の自分がある。」と難局を乗り切ったことを誇らしげに語っているということです。

十数年前であれば、むちゃくちゃだと思うことをやらせても、「結果よければ全てよし」的な風潮がありました。しかし周知の通り、最近はハラスメントやコンプライアンスなどの組織活動に対する社会からの要請が高くなっており、無難で安全な経験を積ませることに意識が向いているのではないでしょうか。

米国の研究機構の調査結果も出ておりますが、仕事での成長を決定する要素の7割は経験です。

効果的な人材育成をするために

つまり、人材育成の鍵となるのは、“職場”に人が育つ土壌があることと言えるでしょう。

繰り返しになりますが、成果主義の導入や個人プレーの増加により、この土壌を耕すことをないがしろにしてきた企業や職場が非常に多く存在しました。人を活かすことと人を使うことを混同している職場を多く見てきました。私が書いているブログ「はたらく力向上員会 ツカえない人」に、一例を書いていますので参考にご一読頂けると嬉しいです。

では、職場で人材を育成するために、何をすればよいのか検討していきましょう。

1)ガイドラインを作る
まず、各職場で実施しなければいけないことは、各自がすべき業務内容と達成基準、必要な知識や能力を明確にすることが必要です。部内での役割など、あいまいとしていることも仕事を依頼する立場として、一度整理しておくことをお勧めします。

このように業務概要、メンバーに対する期待値や業務の習熟度をまとめておくことは、効果的に職場をマネジメントする上で有効となるでしょう。さらに、「育成・指導担当者を誰に任せるか」「成長度合いをどのように測定するか」といった人材育成を実践するためのガイドラインとなります。

2)育成手法を学ぶ
職場で人を育てるためには、育成の方法を習得する必要があります。最近では、コーチングやサーバントリーダーシップなど、部下の持ち味を引き出すためのアプローチが多々あります。

人材育成に関する様々な理論の中には、着眼点が面白いものや幅広い層にアピールするわかりやすい解説で人材育成を説くものもあり、どれも魅力的ではありますが、重要なのはその理論が「納得感があるかどうか」ではなく、「実践できるかどうか」です。

この際、部下の育成度合いや個性に合わせたアプローチを習得しておくとよいでしょう。部下と接するために必要な基本的な考え方、相手の意見を引き出すアプローチ、業務を教える効果的な方法などバリエーションを増やしておき、部下の状況にあった育成を行ってください。

3)仕事の与え方を工夫する
同じ仕事ばかりを担当させていると、飽きやマンネリ化を招きます。職場の状況を安定化させたいと思うのが常ですが、担当領域を広げる、裁量の幅を広げるなど部下の育成状況を考慮しながら仕事を与えることが大切です。
先ほど例に上げた成長した機会を見ても、少しの背伸びや多少無理をすればやり遂げることができそうな仕事に挑戦させています。ぜひ、部下の成長を後押しする采配を振るってください。