第52号:激動する時代を楽らくと生き抜く経営者になる
本年最初の「未来の眼」をお送りいたします。2024年のスタートは、能登半島地震や飛行機事故といった衝撃的なニュースからスタートでした。被害に遭われた方々には、心よりお見舞いを申し上げると共に1日も早い復旧を願っております。
年始早々にこのような事態に遭遇するなんて…となんとも表現のしようもない感情を抱き、この一年を案じています。辰年というのは、大きな変化が起こる年といわれています。今年は、新NISAがスタートし、現行の保険証が廃止され、マイナ保険証に一本化されます。さらに、日本も含め、世界のリーダーたちを決める選挙が控えており、あらゆる面で著しい経営環境の変化が予測されています。
事業環境が大きく変わるということは、そこに適応できない会社や組織は停滞か、衰退するという道をたどることになります。当然のことではありますが、これまでのやり方を守る、慣例から抜け出せないというのは、事業成長とは距離を置くこととなります。
コロナ禍の緊急事態宣言の時を思い出してほしいのですが、当時、「元の生活に戻る」と言い切っていた会社と、通信技術を活用して生産性を高めようとした企業では、その後の事業運営は全くといってよい程に違いが生まれています。
こうした事態の捉え方は、自社が置かれている環境に対する認識による差から生じることがあります。社会生活に大きな影響を与えることが起きても、「うちは潰れない」という見方をする。それとは逆に、社会的インパクトは「自社の危機に通じる」という捉え方をしている場合もあります。両社の対応が異なるのは、言わずもがなです。
話を戻しますが、こうした時代の節目の時には、ヘタに抵抗するよりも「変化を肯定的に受け入れること」が得策だと考えています。それは、楽観することでも、日和見的になることではなく、「チャンスを活かす」という観点で物事を捉えることができているかということです。
日本の産業界では、変革型リーダーシップ養成なるプログラムがあちらこちらで開催されています。こうしたプログラムは、「企業の生き残りのために、企業を変革させることができるリーダー」を育成することを目的に開発されています。口には出さないと思いますが、無駄だよな…と感じている人が多くいることを確信しています。
変革型のリーダーは、恐らく育てるものではなく、勝手に育っているような人たちなのではないでしょうか。その検証は難しいので脇に置きますが、起きてしまった出来事を前向きにとらえ、新たな活路を切り開いていくことができる人が変革型リーダーです。
激変する時代の中で、「変わらなければ」という言葉を耳にしますが、大切なことは「合言葉」を作ることではありません。どこの会社にもある、このままでは「不味い」ものを状況の変化に乗じて、煮るなり焼くなりして現状を打開できるかが重要なことです。
大事なことは、社長が躍起になることではありません。すべきことは、社長や経営幹部が、社員に変わらなければいけない理由や背景を丁寧に説明することです。「なぜ、それをやるのか」「別案を選ばないのはなぜか」を伝えていくことは、余計な詮索や不安や不満を和らげることにもつながります。
そして、社員たちを巻き込んでいくことがこれからの時代を生き抜いていく上では必要です。
あなたは、自社の事業環境をどのように捉えていますか?
あなたの会社には、変化を促進させる社員はいますか?