第154号:管理職が育たない企業の経営者が無意識にしていること

 あなたの会社でも起きている“名ばかり管理職”現象

「それは、自分で解決できるだろ」と言いたくなるようなことまで、社員が確認をしにくることに、イライラしている経営者が少なくありません。組織として形は整っているように見えているのに、実態は「肩書だけの管理職」指示待ち、責任回避、意思決定の先送りと課題が山積しています。

人を採用しても、昇格させても、能力不足のように感じてしまうのは、なぜでしょうか。

経営者が無意識に成長を止めている瞬間

多くの企業では、管理職登用の基準が「現場で成果を出した人」です。営業トップ、生産効率の高いリーダー、クレーム対応がうまいベテラン社員。こうした人材が評価され、昇格する流れは一見合理的です。

しかし昇格後、彼らは現場プレイヤーの延長線で動き続けます。部下を育てるより自分で動いた方が早い。判断を任せるより抱え込んだ方が確実。結果として、管理職は一番忙しい作業者になり、組織全体の生産性は頭打ちになります。

さらに問題なのは、経営者自身が無意識にこの構造を強化している点です。
・重要な案件ほど自分が判断する
・失敗すると「だから任せられない」と取り上げる
・成果は経営判断、失敗は現場責任

こうした積み重ねが、管理職の成長機会を奪い続けているのです。

管理職が育たない本当の原因は能力ではない

管理職が育たない本質は「能力不足」ではありません。
経営者が常に考えているであろうこと、「最終的には自分が責任を取るのだから、重要なことは自分で決めるべきだ」という姿勢は、時に組織成長の観点ではブレーキになってしまうことがあります。

人は、判断を任され、失敗し、修正しながらしか成長しません。
にもかかわらず、日本企業の多くでは「失敗しない管理」を重視しすぎるあまり、判断権限が上位に集中します。その結果、管理職は考えなくても回る仕事しか任されず、意思決定筋力が鍛えられないまま年月だけが過ぎていくのです。

判断を育てるマネジメントの具体ステップ

成長している企業は、管理職に対して最初から完璧さを求めていません。むしろ、未熟な判断を前提に任せているきらいがあります。

彼らが行っているのは、単なる権限委譲ではなく、
・どこまでを任せるのかを明確に線引きする
・判断基準を言語化して共有する
・結果ではなくプロセスを振り返る対話を重ねる

この繰り返しによって、管理職は経営者の思考回路を少しずつ身につけていきます。

重要なのは「任せたあと口を出さない」ことではありません。「任せたあと一緒に考える」ことです。失敗を責めるのではなく、判断の背景を問い、次の選択肢を一緒に設計する。この積み重ねが、管理職を作業責任者から経営視点の意思決定者へと進化させていきます。

管理職育成は人の問題ではなく構造の問題である

管理職が育たない会社の多くは、人の問題ではなく経営構造の問題を抱えています。育成とは研修ではなく、「判断を渡し、育つ環境を設計すること」です。

最近、あなたが自分で抱え込んでいた決定事項は何ですか。
その決め事、本当にあなたじゃなければできないものでしたか。