第151号:なぜ同じ会社で、稼げる社員と稼げない社員が分かれるのか

 なぜ同じ会社で「稼ぐ社員」と「稼がない社員」が生まれるのか

「同じ時間、同じ給与、同じ職場。それにもかかわらず、会社にもたらす成果には大きな差が生まれてしまうのは、なぜだろう。」と不思議に思うことはないでしょうか。

「いつも忙しそうなのに、利益に結びつかない社員」「売上をつくるのが上手い社員」なんとなく感じているけれど、その差を明確に言語化することは難しいです。結果的に、評価制度や能力の問題として片づけてしまい、どこか腑に落ちないまま時間だけが過ぎていく。あなたの会社でも、似た状況が起きていませんか。

忙しいのに利益が出ない会社に共通する落とし穴

評価制度はあるものの、何をすれば売上や利益に貢献したと評価されるのか曖昧。目標設定は数値で示されているが、その数値がどのように会社の利益につながるのか、社員自身が腹落ちしていない。結果として、社員は「与えられた仕事をこなす」ことに最適化されていきます。

ある企業では、営業部門の上位2割の社員が売上の6割以上を生み出していました。一方で、残りの社員は業務量こそ多いものの、付加価値に直結しない仕事に追われていました。問題は努力不足ではなく、「成果につながる行動が見えない」ことにその原因がありました。

他社と比較すると、稼げる社員が多い企業ほど、成果の基準が明確です。単に売上目標を掲げるのではなく、「どの行動が、どの価値を生み、最終的に利益に結びつくのか」という因果関係が、日常の会話や意思決定の中で共有されています。

「稼げない社員」をつくり出す経営

稼げる社員と稼げない社員の差は、物事を測る基準と視座にあります。そして、その判断基準を誰が、どこで、どのように与えているのかを突き詰めると、最終的に行き着くのは経営者の意思決定構造です。

稼げる社員は、自分の仕事が「会社のどの数字に、どう影響するのか」を理解しています。逆に、稼げない社員は、正解の見えない作業を、正しくこなすことにエネルギーを使い続けます。この差は、本人の思考力の問題も関係しますが、それ以上に「経営の設計図を描いているかどうか」によっても左右されます。

また、見逃されがちですが、「失敗が許されない空気、上司の顔色をうかがう文化、挑戦よりも減点を恐れる評価」などは、心理的な問題です。こうした環境では、社員は自然と「安全な行動」しか取らなくなり、その結果、忙しいが稼がない状態が常態化していきます。

つまり、稼げない社員を生み出しているのは、社員本人ではなく、稼げなくても回ってしまう経営の仕組みなのです。

社員を変えなくても、成果が変わり始める転換点

この状況を変えるために必要なのは、「優秀な人材を集めること」ではありません。まず着手すべきは、成果につながる行動を促進させる基準値を明確にすることです。経営の視点を現場に分かるように、示していくことです。

成果を出している企業では、社員が日々の行動を選択する際の軸が明確です。何を優先すべきか、何をやらなくてよいか、どの数字を改善するための仕事なのかが、言語として共有されています。その結果、社員は「動かされる存在」から「考えて動く存在」へと変わっていきます。

経営者ができる第一歩は、評価制度を見直すことよりも、成果の定義を具体化することです。売上や利益だけでなく、そのプロセスで価値を生む行動とは何かを、現場の言葉で語れるかどうか。この作業を怠る限り、稼げる社員は偶然にしか生まれません。

社員を評価する前に、経営が問い直すべき一つの視点

稼げる社員と稼げない社員の差は、才能の差ではありません。経営が、成果への道筋をどこまで具体的に示しているか。その一点に集約されます。

経営者がどの数字を見て、どんな理由で判断しているのかを共有し、各部署の仕事がどこに接続しているのかを可視化する。その結果、社員から「自分の仕事の意味が初めてわかった」という声が上がれば、稼げる社員は必ず増えていきます。

あなたの会社では、社員が稼ぐための前提条件が整っていますか。