第51号:社員よりも早く未来予想図を手に入れる
一年の終わりが近づいて来るとお会いしたくなる方がいます。「秒のように一年が終わってしまいました」と語るのは、新規事業を進めているある経営者です。これからやりたいこと、今進めているプロジェクトのことなど、とても刺激なお話を聞かせて頂きました。
年の瀬にお会いするのは、一年の総決算と来期に向けてのパワーが欲しいと思っているからなのかもしれません。実現したい未来に向けて、真っ直ぐに突き進んでいく方のエネルギーというのは物凄いものであり、話を聞いているだけで、人を動かすことの意味を改めて教えてくれます。
この時期になると、翌年を予測する書籍が大量に出版されますが、これらから得られる情報の中でも最も驚かされるのは、技術の進化です。数年前に登場したばかりの製品・技術を圧倒的に凌駕するものが続々と世の中に出されていることです。
また、別の切り口では国内外の情勢はやはり気になります。国際情勢の変化や為替の変動が、企業活動や社員たちの生活に大きなインパクト与えたのは、この数年からも見ても変化に富んだ一年でした。それらを踏まえると、来年はどのような年になるのか、日本・世界で何か起きるのかということは入手しておくに越したことはないと考えています。
私たちは、これからの未来や将来の予測を知りたがるくせに、来る明日への準備が極めて苦手集団だと思っています。人口減少、少子高齢化、人手不足、働く価値観の変化など、何十年も前から指摘されてきたことです。ところが、この期に及んでも、コロナ禍前の状態に戻ることを信じて疑わないサラリーマンたちがいることに驚くことがあります。
現実を直視しない/できないことは、ある意味では幸せなのかもしれませんが、会社や上司が言ったことをできるだけの社員たちを増やしていくだけでは、お先真っ暗です。敢えて言うまでもありませんが、先々の見通しを立てられる社員たちは必要です。
特に、次の経営を引き継いでいく方、部門や現場を取り仕切る管理職たちには、戦略的な思考でビジョンを構築すること、そして、それを社員たちに明示し牽引していくことが求められます。そういう話よく聞くけど、本当に必要なのかな?と疑う方もいるかもしれません。
コラム「第8号:社員にモテる社長が密かにしている特訓」でも書いていますが、組織を運営する経営陣にとっても、社員たちにとっても心理的に優位に働くことは疑いようがありません。理屈や有効性が、分かればできるという類のものではありません。
ですから、まずは、経営者であるあなた自身が、この年末年始を活用して「来年すべきこと・したいこと」を考えることをお勧めします。「GW明けや年末年始明けに、社長が何を言い出すのかと、毎回ヒヤヒヤしています。」とある会社の役員の方が話していました。「情報を大量に集めてきて、会社を成長させるために、これとこれをやるから!と宣言されると大変なんですよ。」と苦笑していました。
休暇は、心と身体を休ませる、家族と過ごすなど、日常の生活とは異なる時間の使い方ができる貴重な期間です。どのように使うのは、もちろん自由ですが他社の社長が実践していることも踏まえてご紹介いたしました。
役員たちがドキドキするような宣言をできるのは、社長しかいません。社員たちには見通すことすらできない、会社の未来に思いを巡らせてみてはいかがでしょうか?
素敵な一年をお迎えくださいませ。