第23号:勝手に会社の価値を上げてくる社員はいますか?
弊社5周年記念イベント「おとなの修学旅行」を軽井沢にて開催いたしました。台風が直撃しているにも関わらず、情報・通信、金属、製造、小売、サービス業、行政機関などから、経営者、役員を含めて人材に携わる方々が総勢16名にご参加いただきました。
業界や職種は異なりますが、ご参加いただいた皆様の関心事の一つに、「キャリア」があります。キャリアとは、社会全体に関わることから個人の人生までと、とても幅広く奥が深い分野です。今回は、会社と自分、自分と人生、社会問題などを各々が興味を持っている話題について思いや考えを語り合うことができました。
この企画を開催するにあたり、会社と個人の関係性をどのように捉えれば、人材の資産価値拡大化と結びつくかを検討しました。以前、某有名ブランドの元役員から、ブランドヒストリー、秘話など普段耳にすることのない情報をお聞きし、ぜひ、このブランドの商品を購入したいと思い、手にした経験があります。
そこで、今回は、メーカーや小売業の方には「自社製品ないし商品」、行政機関の方には「地域の特産品」を営業担当になったつもりでご紹介していただく機会を持ちました。聞き手である私たちは、「あの会社がこれを作っているの!」、「あの地域にそんな魅力的な観光地があるの!」、「やっと何を作っているのか分かった!」と、驚きや新たな発見を頂くことができました。
このように、社員を通じて会社のサービスや製品を知り、それをまた誰かに伝えることが、その会社の認知度向上、ひいては購買意欲を高めることができると確信する瞬間でもありました。これはまさに、社員を通じた広報活動です。つまり、対外的な場において、会社の利益につながる行動ができる、会社の価値を高める活動を行えることは、会社にとって資産価値が高いと人材と捉えることができます。
やや短絡的に聞こえるかもしれませんが、仕事や業務以外の場において、自社で取り扱っている物やサービスを他者にアピールできる社員がどれほどいるか想像していただくと、このような活動ができる人材の価値が高いことを実感して頂けるのではないでしょうか。
では逆に、社員たちが自社を他者に語る意味やメリットはあるか考えてみます。「会社とは何か?」と社員に尋ねると、意外に感じるかもしれませんが、本社ビルや本社所在地と答えが返ってくることが多くあります。
建物や場所を会社と捉えてしまうのは、会社という形のない存在を具現化できていない、自分たちの会社の意義や目的が分からない、会社の価値を理解していないといったことがその理由のように思われます。このような状況は、組織を発展させる観点から考えれば、あまり好ましいとは言えません。
社員たちが、「会社とは何か」、「自社の強み」を認識していくには、自分たちとは異なる目線が必要になります。社外の人達との交流をはかり、世間と比較する中で「自社」の特徴が見出されていきます。そして、個人が会社の価値や意義、自社のビジネスを考えるプロセスは、会社への帰属意識を高めることや仕事の目的を追求していく上でも有効なものとなります。そして、こうした視点は、ゆくゆく事業の強みより一層、強固なものへと押し上げていきます。
今回紹介している例では、話し手の皆さんから「愛社精神」、「製品愛」、「地域貢献意識」のようなものを感じ取ることができました。ふと発する一言やしぐさで、会社や仕事に対する姿勢や考え方のようなものが面白いように見えてきます。
こんな遊びのようなことで、大人の本気を語られたくないと思う方もいるかもしれません。しかし、多くの会社で躍起になって追求しようとしている「創造性」、「付加価値」、「新規性」はこうした遊びや面白がる体験の中から創出されていくのではないでしょうか。
ただただ、遊んでいるにしか見えないのに、会社の評判を上げてくる社員。欲しいと思いませんか?